事業承継を始める最適なタイミングは?意識するポイントや注意点も解説

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事業承継を始める最適なタイミングは?意識するポイントや注意点も解説

事業承継を進めたいものの、後継者不足に悩む会社の経営者は多いのではないでしょうか。事業承継を検討していても、多忙な経営者は承継そのものを先延ばしにしがちです。しかしながら、余裕をもって事業承継を進めるには年単位の時間が掛かるため、会社ごとの最適なタイミングを逃さないようにしましょう。

この記事では、事業承継の最適なタイミングやポイント、注意すべき点を解説します。事業承継で悩んだときには専門家のサポートを受けることも検討すると良いでしょう。

事業承継を行う最適なタイミングとは

事業承継を行う場合、その影響を受けるのは経営者や管理職だけではありません。企業ごとの複雑な事情も絡むため、事業承継を行う時期やタイミングを知ることが重要です。

中小企業庁の『中小企業白書』によると、現経営者の事業承継に関するアンケートで「ちょうどよい時期だった」と回答した人が最も多かったのは40~49歳の年齢幅でした。この回答をした経営者の平均年齢は43.7歳です。このデータからは、40代の後継者が事業承継を行う場合により満足度が高くなる傾向にあることが分かります。
また、事業承継後にはすべての年齢層で経営状態が「良くなった」と回答していますが、現経営者の年齢が若いほど業績が上がる傾向も見られるとしています。

事業承継は5年、10年という長いスパンで行うもので、着手してからすぐに完了するわけではありません。中小企業庁のデータからも、経営者はできるだけ早い時期から事業承継を検討し、最適なタイミングで行うと良いことが分かるでしょう。

※出典:「2 事業承継のタイミング」(中小企業庁)(2021年10月20日に利用)

事業承継を検討する際に意識すべきポイント

事業承継をするべきタイミングは会社や経営者によって異なります。ここでは、経営者の年齢以外に意識しておきたいポイントを詳しく説明します。

具体的には以下の2点です。
・会社の経営状況によって事業承継のタイミングを計る
・後継者の有無や後継者の年齢や能力によって最適なタイミングを見極める

会社の経営状況

事業承継のタイミングは、会社の経営状況が安定している方が事業承継を進めやすくなります。経営が安定している場合、事業承継による社内のトラブルが起こりにくいためスムーズな経営交代が実現しやすいでしょう。

事業承継で経営者が変わると、一時的に会社の内部では変化が起こります。これは、事業承継によって前の経営者が築いてきた人とのつながりや信用が、一度白紙に戻るためです。

事業承継後に一時的に社内が不安定になっても、後継者がしっかり経営を続ければ再び信用を得られるようになります。それまでには一定の期間が必要となるため、できるだけ安定した経営状況で事業承継を行うことが望ましいでしょう。

一方で、業績悪化が続くようであれば、早めに事業承継をした方が良いケースもあります。一般的には、事業承継後に経営状況が良くなったケースは多くあります。事業承継も行わず、業績不振をそのままにしておく方が会社の経営にとっては良くありません。

後継者の年齢や能力

事業承継のタイミングは、後継者の年齢が若い方が良い結果が出やすいことが分かってきました。『中小企業白書』の分析では、事業承継の最適なタイミングは40代ではないかと言われていますが、事業承継には長期に渡る準備が必要です。そのため、事業承継を検討し始めるのは後継者の年齢が30代でも早すぎることはないでしょう。

また、後継者の年齢だけでなく能力も事業承継のタイミングを図るための判断材料となります。後継者が経営者としての能力が備わってきたと判断したときに事業承継を検討することも大きなポイントです。後継者が会社の企業理念やビジョンを理解していれば、事業承継後には社員と理念を共有できるため経営もスムーズに進むでしょう。経営者として能力が不足していると感じる場合は、重点的にその能力を伸ばせるようサポートしたり、他の長所で補えるかを検討したりと状況に応じて対策すると良いでしょう。

経営者としての自覚をしっかり持っていることも重要なポイントです。経営者の自覚は最初から備わっているものではなく、さまざまな経験を通じて養います。事業承継を視野に入れた後継者教育を行うことで、より経営者としての自覚を持って会社を見られるようになるでしょう。

事業承継を失敗しないためのポイント

事業承継には失敗しないために注意しておきたいポイントがあり、まず押さえておきたいことは、事業承継には一定の準備期間が必要な点です。早めに検討を始めないとタイミングを逃してしまう可能性もあります。合わせて、準備段階における事業の検証や専門家への相談も失敗しないためのポイントとなります。

さらに、事業承継後の対応も重要です。後継者の意思を尊重して現経営者がすぐに引退する、といったように、引き継ぎ後に会社が継続できるような地盤づくりを欠かさず検討しましょう。

ここでは、それぞれの項目ごとに詳しく説明します。

事業承継には何年もかかる

事業承継は時間に余裕をもって行う方が良い結果になりやすいため、5年から10年という長いスパンで考える必要があります。事業承継に係る法的手続きは数カ月程度で終えることができますが、事業承継で期間を要するのは後継者の育成や経営全般に関わるプロセスです。

社内や身内に後継者がいれば事業承継を進めやすくなりますが、後継者が見つからないときにはM&A(企業の合併・買収)の手法を使うこともできます。M&Aの場合、事業承継のように後継者の育成にかかる期間は短縮できる反面、買い手がすぐに見つからない可能性もあります。時間に余裕をもって検討すれば十分な準備や選定ができ、納得できる結果が得られる可能性が上がるため、長期的に考えることをおすすめします。

後継者又は承継先の意思を確認する

事業承継で重要なことは、承継後に会社を経営する後継者又は承継先の意思を確認することです。

親族内承継の場合は、現経営者が後継者と考えている身内や社員がいても、本人に後継者になる意思がないというケースもあります。身内であれば「跡を継いでほしい」という思いを言葉に出さなくても分かってくれていると考えがちですが、実際に確認してみなければ本人の意思は分かりません。
後継者になる意思がないにもかかわらず、強制的に事業を引き継がせることは避けるべきです。本人に後継者になる意思がなければ別の人を探し、準備期間を設けて経営のやりがいや醍醐味などを伝え、後継者を育成していく方が良いでしょう。

M&Aによる第三者への承継の場合は、承継先がどのような考えで事業承継を検討しているかをしっかり確認しましょう。事業継承元のオーナー様は、事業承継によって「事業を成長させたい」「既存社員の待遇はそのままで事業承継したい」といったさまざまな思いを持ちながら事業承継先を検討する必要があります。少しでも自社に合った承継先を見つけ、承継後も事業が継続するように、事業承継先として検討している企業の企業理念や経営理念を確認すると良いでしょう。

昨今では変化の大きな社会情勢に対応できるよう、新たな経営方針を積極的に打ち出すような経営者が必要とされています。後継者又は承継先の意思を確認しながら、事業承継を検討しましょう。

事業について改めて検証する

事業承継は、会社の業種や業態が社会の中でどのような立ち位置にあるかを再検討する絶好のタイミングです。社会情勢の変化が特に激しい近年では、すべての経営者が立ち止まって改めて検証できる良い機会にもなるでしょう。会社が行っている事業について、その業種の成長度合いや衰退していく傾向はあるかといった状況を確認することが重要です。

合わせて、取り扱っている商品の売上は今後伸びるか、新商品を開発できるかなどの分析も行うと、後継者に想いを伝えやすかったりM&A先を選定する際の参考にできたりというメリットがあるでしょう。

事業の検証を行うことが難しいと感じる場合、中小企業庁で行っている事業承継診断のサービスを受ける方法もあります。中小企業の経営者の高齢化が進む中、多くの会社が事業承継のタイミングを迎えている現状を受け、この取り組みが始まりました。事業承継ネットワーク事務局で事業承継に関する相談を受け付けているため、相談すれば関係機関と連携しながら客観的なアドバイスが得られるでしょう。

※出典:「中小企業庁:事業承継診断~10年先の会社を考えてみませんか?~」(中小企業庁)(2021年10月20日に利用)

専門家に相談する

事業承継を行うときには、専門家のサポートがある方がスムーズに進みます。サポートを依頼するなら、事業承継の経験を豊富に持ち、実施する最適なタイミングを教示できる専門家が望ましいでしょう。専門家に相談するのはできるだけ早い方が良く、後継者が決まっていない場合でも早期にアドバイスを得ておくことが大切です。

事業承継の準備を進めているときにも社会情勢は変化していきます。専門家のサポートがあれば、状況に応じて計画を変更することもできます。事業承継には税制や相続など専門的な知識を要する手続きが多いため、専門的な知識を持つ人に相談することで正確に手続きができ安心です。

国は中小企業の後継者不足から廃業に追い込まれることのないよう、相続税や贈与税を猶予または免除するなどの優遇措置を設けています。このような支援措置などを活用しながら、専門家にアドバイスをもらうと良いでしょう。

事業承継後は速やかに引退する

親族内承継を行う場合、事業承継が実現し後継者に引き継ぎをした後は、現経営者は速やかに引退することが大切です。また、引退表明も早いうちにしておくことをおすすめします。早い時期に引退表明をすれば、後継者や社員には現経営者がいない会社を自分たちが守るという自覚が生まれます。

一般的には経営を引き継いだばかりの後継者は余裕がないため、現経営者は会長に就任するなどの方法でサポートすると良いでしょう。ただし、サポートは後継者が経営者としての仕事に慣れるまでの間にとどめておくことがポイントです。事業承継後に後継者や社員によって経営が安定するまで様子を見ながら支援しましょう。

事業承継では、前の経営者が必要以上に経営に口を出してしまうリスクもあるため注意しなければなりません。現経営者は事業承継後に速やかに引退する意識を持ち、サポートする場合はあくまでも裏方に徹すると良いでしょう。

まとめ

経営者は多忙なことから事業承継の時期をどうしても遅らせてしまいがちです。しかし、事業承継のタイミングは早めに検討する方が良い結果になることが分かってきました。後継者が40代で事業承継を行うことが望ましく、準備を始めるのは30代からでも良いでしょう。

事業承継には後継者の育成や会社の経営状況把握など、進めるべき課題が多くあるため、悩みを抱える経営者も多いことが実情です。何から手を付けたらよいか分からず二の足を踏んでいる方も多いのではないでしょうか。

事業承継で失敗しないためには、専門家に相談するのが一番です。自社の強み・弱みは経営者が誰よりも理解している一方で、第三者目線でどのように見えるかは非常に重要なポイントです。事業承継成功のためには、様々な視点で会社を見直すことが大切なのです。

GCAサクセションでは、専門家による事業承継のコンサルティングサービスを提供しています。親族内承継・親族外承継どちらにすべきかや、税務関係のお悩みなど、中長期的な観点でも事業承継のご相談をお受けすることが可能です。事業承継について検討したい、悩んでいる、という方はぜひ一度ご相談ください。

記事監修

HLサクセション株式会社は、オーナー様企業における事業承継案件に特化した代理人型M&Aアドバイザリー会社です。「お客様の最善の利益のために」、オーナー様専属のアドバイザーとして、クライアントのご意向に沿ったM&Aの実現を徹底的に追求いたします。

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