中小企業の事業承継はどう進める?現状や課題を踏まえて解説

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中小企業の事業承継はどう進める?現状や課題を踏まえて解説

事業を長く継続させることを考えると、避けては通れない問題が事業承継です。親族経営や中小企業の場合には、後継者不足に悩む経営者は多くいます。

それでは、適切かつスムーズに事業承継を進めるにはどのような点に注意すれば良いのでしょうか。この記事では事業承継の現状に触れながら、事業承継を行う方法やメリット・デメリットを紹介します。自社の現状を把握した上で、事業承継の準備も進めていきましょう。

中小企業の事業承継の現状と課題

事業承継をスムーズに行えるかどうかは中小企業における重要な課題の一つとされています。業績が良いにもかかわらず廃業に追い込まれる中小企業は多く、事業承継の問題は企業の存続を左右する大きな悩みの種ともなっています。

こうした問題には具体的にどのような背景があるのでしょうか。まずは中小企業の現状と課題について把握することが大切です。自社に当てはまる例を探し、その課題と向き合っていきましょう。

経営者の高齢化

2021年2月に帝国データバンクが発表した「全国社長年齢分析」によると、社長の平均年齢は過去最高を更新し、全国平均で60.1歳となりました。また、経済産業省の「中小企業白書」によると、2018年の時点で中小企業の社長の最も多い年齢層は69歳となり、1995年には47歳だったときと比べても急激に高齢化している様子が分かります。

事業承継は後継者の育成を考えると5〜10年など長い期間を想定して取り組む必要があります。そのため、経営者の高齢化が進むと事業承継を行うタイミングも難しくなり、さらに困難な状況に直面することになるのです。

例えば経営者が高齢となり事業承継を行うほどの体力がなくなってしまうと後継者が不在となり、経営者の体調が急変したときには中小企業の経営も成り立たなくなります。その結果、業績が良いにもかかわらず廃業に追い込まれ、中小企業の減少につながっていくのです。

後継者不足

中小企業の社長の高齢化が進んでいる背景には、後継者不足という問題もあります。帝国データバンクが発表した「特別企画:全国『後継者不在企業』動向調査(2020年)」によると、日本の企業のうち65.1%は後継者不在の状態であることがわかりました。

また、日本政策金融公庫が中小企業を対象に行った「中小企業の事業承継に関するインターネット調査(2019年調査)」によると、事業承継が決定している事業者は全体の12.5%にとどまっており、後継者不足の問題が深刻であることがわかります。

そして、事業承継を行わず廃業を予定している中小企業は全体の5割にも達し、そのうち約3割が後継者難を理由に挙げています。

また、廃業を予定している企業の経営者の平均年齢は72.1歳となっており、企業に勤める社員や従業員の生活もあることから、後継者不在でもできるだけ長く事業を存続させるために、社長の高齢化も進んでいるのです。

役員・従業員への事業承継が増加

同族経営の場合、これまでは親族内で事業承継が行われるケースが一般的でした。しかし、近年では身内に承継者がいないために親族内での事業承継ができない中小企業が増加傾向にあります。これには相続税制の改変や生き方の多様化、職業選択の自由が重視されるようになり、家督を継ぐことが当たり前ではなくなったという背景があります。

また、結婚などに対する考え方も変化しており、そもそも親族の絶対数が少なくなっていることもあるでしょう。こうした理由から、中小企業を存続させるために親族外の役員・従業員への承継を考える経営者が増えています。

しかし、役員・従業員に承継させるには株式の買収資金不足や債務保証のリスクがあるため、廃業やM&Aを選択するケースが増えてきているのです。

事業承継を行う方法

事業承継を行う主な方法は以下の3つがあります。

・親族内承継
・親族外承継(役員・従業員)
・社外への引継ぎ(M&A等)

それぞれの中小企業の事情によって選択肢はさまざまですが、いずれの方法にもメリット・デメリットが存在します。事業承継をスムーズに行うために、それぞれの特徴やメリット・デメリットをしっかり把握しておきましょう。

親族内承継

経営者の配偶者や子ども、兄弟姉妹、甥・姪など、親族が事業を承継していく方法を親族内事業承継と言います。親族内承継は早い段階で後継者を決められるため、次期経営者になるための育成など、事業承継に向けた準備も進めやすい点がメリットです。また、従業員や取引会社、関係者など周囲の人からも受け入れられやすくなり、事業承継の際に混乱が起きる心配も少なくなるでしょう。

しかし、親族内承継は候補者が限られるため、必ずしも資質のある人材が後継者になるとは限りません。資質がない経営者が跡を継いだ場合、経営にも支障をきたす可能性も考えられる他、後継者として指名された親族がその立場を望まないケースも考えられます。意欲がない後継者では、事業の存続も難しくなるでしょう。

親族外承継(役員・従業員)

親族でない役員や社員などに事業を承継する方法を親族外承継と言います。広義ではM&Aによる社外への承継も親族外承継とも呼ばれますが、ここでは、役員・従業員への承継を親族外承継と定義します。親族外承継は、事業内容について熟知している人物や有能な人材を選んで後継者にできる点がメリットです。事業承継の際にも能力が発揮されれば、経営を安定させて事業の実績を伸ばせる可能性も大いにあります。しかし、経営者が有能な人材を的確に後継者として指名できなければ意味はありません。

また、有能な人材であっても、現在の経営者の代わりとしていきなり同様の手腕を発揮することは難しいでしょう。さらに、親族を差し置いての事業承継となると、親族の同意を得ることが難しい場合もあります。後継者として誰もが認めるような人材を選び、育成しない限り、新たな争いの火種となる可能性がある点がデメリットです。

社外への引継ぎ(M&A等)

親族や役員・従業員の中で後継者を選べなかった場合には、事業を存続させるために社外への引継ぎ(M&A等)を選択するケースもあるでしょう。

M&Aのメリットは、社外の専門家を後継者にして経営を安定させられることや、事業の売却によって利益を上げられることなどがあります。その反面、条件に見合った相手が見つかるとは限らない点がデメリットです。

また、承継先によってはM&Aで経営陣が変わることによる優秀な人材の退職や、それまで長く付き合いのあった取引先との関係が悪化する可能性も考えられるため、会社同士の相性なども考えながら承継先を選定することが重要です。

中小企業が事業承継を行う5つのステップ

中小企業庁が発表している「事業承継ガイドライン」によると、社外への引継ぎを行う際の事業承継に向けたステップとして以下の5つの項目が挙げられています。

・事業承継に向けた準備の必要性の認識
・経営状況・経営課題等の把握(見える化)
・事業承継に向けた経営改善(磨き上げ)
・マッチングの実施
・M&A等の実行

ここでは、中小企業が事業承継を行う5つのステップとポイントについてそれぞれ解説します。

事業承継に向けた準備の必要性の認識

事業承継は長期的に取り組む必要があるため、まずは経営者が事業承継を念頭に置いて行動を始めなければなりません。

従業員や関係者に向けて理解や協力が得られるよう働きかけ、第三者に対して相談できるような環境を作るなど、事業承継を行いやすい体制を築き上げていく必要があります。事業承継に向けた準備には長期間必要であることを認識し、5〜10年かけて計画的に準備を行っていくことが大切です。

経営状況・経営課題などの把握(見える化)

事業承継を行うにあたり、後継者も事業の内容について把握しておかなければなりません。そのためには、経営状況や経営資源の現状を把握することに加え、経営課題についても経営者と後継者が情報を共有し見える化をする必要があります。

経営者としては、経営や課題にともに取り組む後継者の姿を見ながら育成もできるでしょう。また、後継者も経営者を支えながら将来事業を継いだ際にすべきことを具体的にイメージしながら取り組めます。

事業承継に向けた経営改善(磨き上げ)

経営者と後継者が情報を共有して支え合っていく中で、改めて経営状況や自社の強みを確認し、さらに強みを活かせるように経営改善を行う必要があります。また、経営改善によって収益性の向上が図れるほか、弱い部分の見直し・改善できる効果も期待できます。これらの経営改善を行う場合、事業承継は良いタイミングと言えるでしょう。

事業承継をチャンスと捉えて自社の魅力を高められれば、その先も企業の成長が見込めます。

マッチングの実施

社外への引継ぎ(M&A等)を実施する場合は自力で一連の作業を行うことが困難である場合が多いため、M&AアドバイザーやM&A仲介業者等の専門家に候補者のマッチング及び選定のアドバイスを依頼する必要があります。その際、専門家には「従業員の雇用条件の維持」や「一部事業のみ残したい」等の条件を事前に伝えた上で検討を進めます。あらかじめ経営改善を行っておけば企業価値が高められ、より良い条件での譲渡も可能になるでしょう。

M&A等の実行

手続きが終わり、準備が完了したところで事業承継の実行に入ります。経営者の交代や資金・株式といった資産の移転及び権限の委譲などが主な内容です。

事業承継によって経営者の立場を退いた後も後継者をサポートし、ときにはアドバイスを行うことができれば、後継者も安心して事業に取り組めるでしょう。また、状況に応じて相談役などのポストに就任することも、スムーズに事業承継を行っていくための方法の一つです。

まとめ

中小企業が事業承継を行うには、後継者の人材不足や体制面の不安など、多くの課題と向き合う必要があります。そこで事業承継がうまく行かず廃業になってしまうと、これまで築き上げてきた企業の信頼や価値が失われてしまいます。それを避けるためにも、事業承継はプロのアドバイザーに相談しながら確実に進めていく方法がおすすめです。

プロのアドバイザーはさまざまな企業を見てきた経験や知見があるため、状況や課題に応じて的確なアドバイスが受けられるでしょう。

M&Aを視野に入れて事業承継を考えている場合には、ぜひGCAサクセションにご相談ください。
弊社は、仲介型ではなく経営者の専属アドバイザーとして、中立的立場ではなく経営者の要望に沿う形でのM&Aを進めていきます。M&Aについて10年以上の実績と経験がございますので、経営者の譲れない条件や優先順位を把握した上で、売り手にとって不利にならずに交渉を進めるノウハウを駆使し、経営者の皆様にとって最善の事業承継ができるようサポートさせて頂きます。

記事監修

HLサクセション株式会社は、オーナー様企業における事業承継案件に特化した代理人型M&Aアドバイザリー会社です。「お客様の最善の利益のために」、オーナー様専属のアドバイザーとして、クライアントのご意向に沿ったM&Aの実現を徹底的に追求いたします。

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